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石川忠久先生漢詩講演会報告

石川忠久先生漢詩講演会報告

近畿漢詩連盟事務局長 原肇

 平成25年11月13日(水)忭想(べんそう)会と燁吟漢詩部の主催で石川先生の漢詩講演会が石清水青少年研修センターで開催されました。今回は第10回目の記念講演会ということでひろく参加者を募り、近畿漢詩連盟も後援しました。約70名の方が会場を埋め尽くし、活気ある講演会となりました。
 講演は〈日本の漢詩 江戸から明治へ〉という演題でおこなわれました。前置きとして、「音楽入りの言語として中国語は世界唯一の言語であり、少なくとも3300年前に詩経という形で詩が出現し、唐代に完成した。日本人は訓読という形で漢文をものにしたが、懐風藻の段階ではまだ真似をするのに精一杯で、吸収した知識が熟成されたのが江戸漢詩である。」と語られ、話は本題に入りました。
 取り上げられた詩は、江戸漢詩として柴野栗山の「月夜歩禁垣外」、尾藤二洲の「画梅」、野田笛浦の「昌平橋納涼」、安積艮斎の「王子村晩帰」が紹介されました。それぞれの作者の解説、詩が下敷きとしている中国詩の解説、「昌平橋」・「王子村」などの地名が有する語感などについても話が及びました。
続いて明治期に入り、森鴎外の「航西日記」、夏目漱石の「仰臥人如唖」ではじまる無題詩、正岡子規の「金州城」、永井荷風の「墨上春遊」、大正天皇の「日本橋」が取り上げられました。いずれもプロの漢詩人ではない作者の詩で、これらの作者が生れた時代の背景や育った環境、作詩の指導者にまで話が及んで、約3時間の講演はあっという間に過ぎ去ってしまいました。
今回は記念講演会ということもあって、石川先生自作自書の作品を筆頭に、有志が自作した書作品などを展示するコーナーも設けられました。石川先生の作品を紹介しておきます。前日に関西に入られ、黄檗山に遊ばれた後、本日山の上にある石清水八幡宮に来られて講演を持たれたことが詠いこまれています。

 偶成
深景昨朝詣古刹  深景 昨朝 古刹に詣で
論詩今日在山中  詩を論じて今日 山中に在り
窓前楓葉色猶半  窓前の楓葉 色猶半ばなれども
堂裏興酣文雅風  堂裏 興酣なり 文雅の風

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