近畿漢詩連盟 - 近畿の力で漢詩を未来へ -

第3号会報投稿詩

第3号会報投稿詩

屋久縄文杉  松坡 赤ざ安子(大阪府)

南冥孤島曳筇尋
煙雨濕衣幽谷深
驚看巨杉生勃勃
七千経歳聳青岑

南冥の孤島 筇を曳いて尋ぬ
煙雨 衣を濕し 幽谷深し
驚き看る巨杉 生勃勃として
七千の歳を経て 青岑に聳ゆるを

寄棚橋篁峰先生送別宴  粋藼 岡林成一(大阪府)

耳提面命導鷗盟
來往日華姓字鳴
今夜祖筵燈火下
満腔離思酌杯觥

耳提 面命 鴎盟を導く
日華を来往して 姓字鳴る
今夜 祖筵 燈火の下
満腔の離思 杯觥を酌む

棚橋篁峰先生は日中友好漢詩協会理事長など歴任。

花下美人  燁玻 菅千鶴子(大阪府)

誇嬌翠袖又朱唇
一種妖氛惱殺人
舞踊唱歌花下宴
故勸杯酒惜殘春

嬌を誇る翠袖 又 朱唇
一種の妖氛 人を悩殺す
舞踊 唱歌す 花下の宴
故(ことさら)に杯酒を勧めて 残春を惜しむ

住吉神社奉納横綱白鵬土俵入  宇野田剛志 (大阪府)

檜皮社殿極幽奇
奉納神前傳統儀
華麗莊嚴不知火
堂堂披露凛然姿

桧皮(ひわだ)の社殿 幽奇を極む
神前に奉納す 伝統の儀
華麗 荘厳なる 不知火
堂々 披露す 凛然の姿

竹蔭讀書  燁哥 六角浮子 (大阪府)

薫風吹緑度籬垣
寂寞林亭晝掩門
移榻竹陰繙史册
閑聞戞玉忘塵煩

薫風緑を吹き 籬垣を度(わた)る
寂寞たる林亭 昼 門を掩(おお)う
榻を竹陰に移して 史冊を繙(ひもと)き
閑(しずか)に戞玉を聞いて 塵煩(じんはん)を忘る

仲秋賞月  春陽 川端恵美(兵庫県)

滿城風物又中秋
桂子飄香月入樓
清賞今宵人不睡
三千里外照離愁

満城の風物 又 中秋
桂子 香を飄(ひるがえ)し 月楼に入る
清賞して今宵 人睡(ねむ)らず
三千里外 離愁を照らす

秋夜偶吟  春陽 川端恵美(兵庫県)

讀了詩書斜照頭
中庭移榻凝雙眸
碧梧一葉飄然墜
仍識清霜天下秋

詩書を読了す 斜照の頭
中庭 榻を移して 双眸を凝らす
碧梧 一葉 飄然として墜(お)つ
仍(な)お識る 清霜 天下の秋なるを

山居雜詠 樂山 山形重則(兵庫県)

松籟泉聲滌暑清
萬山嵐氣白雲生
溪居高臥亦無夏
碧簞涼風夢不驚

松籟 泉声 暑を滌(あら)って清し
万山の嵐気 白雲生ず
溪居に高臥すれば 亦 夏無し
碧箪(へきたん) 涼風 夢驚かず

新秋夜坐 樂山 山形重則(兵庫県)

雨洗殘炎涼意盈
籬邊喞喞草蟲鳴
轉憐節物催吾老
夜坐南軒懷舊盟

雨は残炎を洗って 涼意盈(み)つ
籬辺 喞々(しょくしょく)として 草虫鳴く
転(うたた)憐れむ 節物の吾が老を催(うなが)すを
夜 南軒に坐して 旧盟を懷う

中秋賞月 雅岳 加来米子(兵庫県)

碧落無雲萬象幽
窗前仰見好中秋
玲瓏似鏡團圓月
迎友良宵酒可酬

碧落 雲無く 万象幽なり
窓前 仰ぎ見る好中秋
玲瓏 鏡に似たり 団円の月
友を迎えて良宵 酒酬(むく)ゆべし

山莊銷夏 雅岳 加来米子(兵庫県)

炎塵不到葛衣輕
風度松梢謖謖鳴
林下一亭涼氣足
北窗夢醒日西傾

炎塵到らず 葛衣軽(かろ)し
風は松梢を度り 謖々(しょくしょく)として鳴る
林下の一亭 涼気足り
北窓 夢醒むれば 日 西に傾く

夏日雜詠  桂月 白根桂子(兵庫県)

仰看峭壁一絛泉
飛沫生涼忽颯然
日落林梢風籟爽
山房浴後氣如仙

仰ぎ看る峭壁 一条の泉
飛沫 涼を生じて 忽ち颯然たり
日は林梢に落ちて 風籟爽やかなり
山房 浴後 気は仙の如し

山房偶吟  桂月 白根桂子(兵庫県)

澗溪流水韻如琴
葉戰蒼然竹樹深
風入山房人坐月
閑繙史籍獨沈吟

澗溪の流水 韻(ひびき) 琴の如し
葉戦(そよ)ぎ 蒼然として 竹樹深し
風は山房に入り 人は月に坐す
閑に史籍を繙き 独り沈吟す

山中消夏  哲舟 古石哲雄(兵庫県)

喧聒鳴蟬三伏天
山中避暑浴溫泉
一過驟雨消炎熱
伸脚幽窗成午眠

喧聒(けんかつ)たり鳴蝉 三伏の天
山中 暑を避け 温泉に浴す
一過の驟雨 炎熱を消す
幽窓に伸脚して 午眠を成す

賞菊  薫風 西之上ひさゑ(兵庫県)

幽菊方開野老家
傲霜姿態萬枝斜
群芳落盡東籬下
晩節清高有此花

幽菊 方(まさ)に開く 野老の家
霜に傲る姿態 万枝斜めなり
群芳 落ち尽す 東籬の下
晩節の清高 此の花に有り

夏日海村  薫風 西之上ひさゑ(兵庫県)

七月海村潮氣香
白鷗飛舞入蒼茫
漁舟蘯漾涼波裏
只看沙洲返照長

七月の海村 潮気香(かんば)し
白鴎 飛舞し 蒼茫に入る
漁舟 蘯漾す 涼波の裏
只看る沙洲 返照の長きを

尋花  如水 八木和子(大阪府)

韶華滿眼出遊宜
吟杖尋芳香雪吹
處處聽鶯花下路
恍然陶醉賦詩遲

韶華 満眼 出遊に宜し
吟杖 芳を尋ぬれば 香雪吹く
処々の聴鴬 花下の路
恍然と陶酔して 詩を賦すこと遅し

正岡子規  篁堂 渡邊和幸(兵庫県)

仰臥病牀毛筆橫
革新俳句苦難成
流芳千古絲瓜詠
天地長留蜀魄名

病床に仰臥するも 毛筆を横たへ
俳句を革新せんとするも 成る無きを苦しむ
流芳 千古 糸瓜(へちま)の詠(うた)
天地 長(とこしえ)に留む 蜀魄の名