近畿漢詩連盟 - 近畿の力で漢詩を未来へ -

近畿漢詩連盟設立祝賀詩・唱和詩

近畿漢詩連盟設立祝賀詩・唱和詩

近畿漢詩連盟の設立の際には各位より祝賀の詩が寄せられました。また、各役員からはそれらの祝賀詩に対する唱和の詩が寄せられました。

慶賀近畿漢詩連盟結成  石川岳堂

平成辛卯秋分日
佳氣氤氳畿道天
鷗鷺新盟此清集
從今提挈趁先賢

平成辛卯 秋分の日
佳氣氤氳たり 畿道の天
鷗鷺 新たに盟(ちか)ふ 此の清集
今より提挈して 先賢を趁はん

「氤氳(インウン)」は気の盛んなるさま。「鷗鷺」は世外の交わり。「提挈(テイケツ)」は提携と同じで、互いに手をひくこと。

辛卯秋分日  石川岳堂

竹外山陽皆我宗
文塲先達在畿中
鷗盟幸有玄暉統
戮力宣揚新代風

竹外山陽 皆な我が宗
文場の先達 畿中に在り
鷗盟 幸にして玄暉の統ぶる有り
戮力宣揚せん 新代の風

「文塲」の塲は場におなじで、文壇のこと。「玄暉」は謝朓(464~499 六朝の詩人)の字。「戮力(リクリョク)」は力をあわすことで、左伝にみえる言葉。

祝近畿漢詩連盟設立  大野修作

近畿崛起吟詠人
秋色西京興愈深
詩筆聊將囊裏探
連盟結得乃調新

近畿崛起す 吟詠の人
秋色の西京 興愈(いよいよ)深し
詩筆聊(いささか)將に 囊裏を探らんとす
連盟結び得て 乃(すなは)ち調べ新らし

「崛起(クッキ)」はそば立ち起こる、そびえる意。「囊裏(ノウリ)」は囊中におなじで、詩の袋の中。

賀近畿漢詩連盟設立  菅原有恒

濫觴勝寶懷風藻
千載中興藤落花
連袂六州拓奎運
向榮含笑後生誇

濫觴 勝宝の懐風藻
千載 中興の藤落花
連袂六州 奎運を拓き
栄に向かひ笑を含みて後生に誇らん

「濫觴(ランショウ)」は杯をうかべるほどの小さな流れ、ものの始めの例え。「勝寶懷風藻」は勝力年間に編集された日本最古の漢詩集。「藤落花」は藤井竹外の詩「吉野懐古」をさす。「連袂(レンベイ)」は携手連袂などと使い、あいともにする意。「奎運(ケイウン)」は文運で、奎は文運を司る奎星からきている。「榮」は草木がさかんに茂る、物事が隆盛なる義。

次石川岳堂先生近畿漢詩連盟設立祝賀詩韻  能田岳泉

持滿風懷迎暦日
詩帆掛海上秋天
縱雖拙詠宗師在
挈鷺提鷗慕古賢

満を持す風懐 暦日を迎へ
詩帆海に掛けて 秋天に上る
縦(たとひ)拙詠と雖も 宗師在り
挈鷺 提鷗 古賢を慕はん

「風懷」は風流のこころ。「暦日」はこよみにて定められた日。「挈鷺提鷗」は風流の仲間が提携することで、石川先生の祝賀詩参照。

近畿漢詩連盟設立有感  能田岳泉

古來畿甸洽詩心
神韻欲傳風動襟
持滿高懷文墨集
研修麗澤聖賢尋

古来 畿甸 詩心洽(あまね)し
神韻伝へんと欲して 風襟を動かす
満を持す高懐 文墨の集ひ
研修 麗沢 聖賢を尋ねん

「古來」昔から今にいたるまで。「畿甸(キデン)」は畿内に同じ。甸は都を囲む千里四方の天子の直轄地。「神韻」は人の心のすぐれてけだかいこと。詩文などのすぐれたる趣。「持滿」は十分に弓を引きしぼることで、準備をととのえることという。「麗澤」は友人どうしで励まし合って勉学や修徳に努めること。

次岳堂夫子瑤韻  鐡枴 北口晶將

連盟設立秋晴日
日吉時良河内天
從此詩朋互提挈
琢磨切磋伍前賢

連盟設立す 秋晴の日
日吉に時良に河内の天
此れより詩朋 互ひに提挈し
琢磨 切磋して前賢に伍せんや

近畿漢詩連盟設立有感  鐡枴 北口晶將

此日稱杯意穆然
相逢共喜雅盟堅
提攜只合期飛躍
詩氣奔騰河内天

此の日 杯を称げ意は穆然たり
相逢うて共に喜ぶ雅盟堅きを
提携 只合(ただまさ)に飛躍を期すべし
詩気 奔騰す河内の天

「穆然」は和らぎ親しむさま。

同心有友結吟盟
當世何關月旦評
聞説希聲克通大
大音他日使人驚

同心の友有り吟盟を結ぶ
当世 何ぞ関せんや月旦の評を
聞説(きくならく) 希声克(よ)く大に通ずと
大音 他日 人をして驚かしめん

「月旦評」は許劭の故事により、人物の評価をいう。「希聲」はかすかな声で、[老子]四十一に「大音希声」とある。

次韻石川岳堂先生辛卯秋分日  玖城 淺野良治

正待淸秋迎雅宗
鷺鷗翔集快晴中
今來文化遍畿服
宜倣漢高歌大風

正に淸秋を待ちて雅宗を迎へ
鷺鷗 翔集す 快晴の中
今來 文化は畿服に遍からん
宜しく漢高に倣ひて大風を歌ふべし

「雅宗」は詩文・韻事の大家。「今來」は今から、今後。「文化」は文徳による教化。「漢高」は漢の高祖劉邦。天下平定ののち、故郷に凱旋した際に「大風歌」を詠んだ。

依韻大野修作先生祝近畿漢詩連盟設立  玖城 淺野良治

燦燦瑞霞秋似春
五畿天色碧偏均
満堂同志詩盟就
千載堪期墨氣新

燦燦たる瑞霞 秋 春に似たり
五畿の天色 碧 偏へに均し
満堂の同志 詩盟 就る
千載 期するに堪へたり 墨氣の新たなるを

「偏」はことさらに、特別に。「墨氣」は詩をかきつけた墨の香り。

依韻菅原有恒先生賀近畿漢詩連盟設立  玖城 淺野良治

畿邦從古富才華
两謝声望統百家
今夜德星群集下
應須共食夢中花

畿邦は古より才華に富み
两謝の声望 百家を統ぶ
今夜 德星 群れ集まる下
應に須らく共に食すべし 夢中の花

「畿邦」は近畿。「才華」は才気あふれる人材。「两謝」は謝霊運(大謝)と謝朓(小謝)の二人。「百家」は数多くの学派。ここでは様々な会に属する多くの詩家のこと。「德星群集」は、地上で賢人が寄り合うと、天上でもめでたい星が集まるという「続晋陽秋」の故事による。「夢中花」は、後漢の馬融が夢の中で花を食べたところ、それ以来、学問が進み、文名が大いに高まったという故事による。